2004-05-27 D―血闘譜 小説 「あの貴族は、悪人なんだね?」 「人間から見ればな」 「貴族から見ると違うの?」 「さて、な」 「貴族の中に悪人はいないの?」 「いるだろう」 「じゃ、いい人は?」 「それも―いるだろう」 「また会えたらいいわね」 娘はうつむいていた。Dへの言葉だったのだ。 Dの口もとが揺れた。笑ったのかもしれない。