リリアとトレイズ そして二人は旅行に行った<下>

読了。

ヴィルに、わたしからの最後のお願いがあります。

わたしが死んだあと、つまりこの手紙を読んだあとのことです。
一年くらい、同じ季節がまたやってくるあいだ、日常の生活のどこかで、わたしのことを思い出してください。
きれいな景色を見たら、何か感動することがあったら、わたしがその時ヴィルの隣にどれほどいたかったかを、
ほんの一瞬でもいいですから、思ってください。隣に目をやってください。
そして一年が過ぎたら…、ヴィルは前を見て生きてください。ヴィルの人生を、楽しんでください。
ステキな彼女を見つけて、その人を心から大切に思い、好きになってください。大好きになってください。
ヴィルが大好きな人と一緒に、死ぬまで幸せになってください。

昔おばあちゃんが言っていたとおり、人の死が単なる長い眠りだというのなら、
わたし一人が勝手に先に眠ってしまうことを、それなりに許してください。
起こさないでいいです。
もう起こしてくれなくてもいいです。

ありがとう、さようなら、ヴィル。